ハルシオン

うつ病になって数年、とても苦しい日がたくさんありますが、少しずつ良くなっています。
僕がどういう経緯で発症したか、症状の経過やその時の心情などを小説形式で綴っていきたいと思います。尚多少のフィクションは入っていますが、感じた気持ちなどはノンフィクションです。

ハルシオン3

眠れない。というのは想定外に辛かった。
体も心も疲れ切ってぐったり眠ってリセットしたいと思っても、
床に就くと頭が冴えきってどんどん緊張してくる。
早く眠らなければ。眠らなければ。眠らなければ。
朝になるのが怖くなった。明るい場所にいるのが落ち着かなくなった。
関節も痛み出した。微熱も続いている。
僕は近所の形成外科へ行った。
「ヘルニアかもしれないね。検査をしてみよう。」
医者が言った。血液を採って数日後。
「どこも異常はないね。いたって正常。まあ微熱も続いているようだしちょっとゆっくり休んでみたらどうかな。」
はあ。
やっぱり疲れているのだろうか。夏の暑さのせいもあるのかな。
僕は夏生まれだ。それは関係ないとしても今まで生きてきて夏バテなんてしたことなかったのにな。最近運動をめっきりやらなくなっているから体が弱っているのかもしれないな。
試しに僕は自転車で国道沿いを10キロ走ってみた。
「なんだこれ、疲れるなんてもんじゃないな。もう倒れそうだ。」
一応、日の照っている昼間を避けて夕方に走り出したんだけどな。
僕はこの日の帰り道、自転車を押して帰った。
途中、休憩を何度もはさんで。
「なんでだろう。こんなに疲れているのに今日も眠れない。」
いよいよ僕はあきらめた。
なけなしの金で遮光カーテンを購入した。
できることなら日が昇る前に眠ってしまいたかったが、なかなかできない。
どうにかして日光が部屋に入らないよう、苦肉の策だった。
目覚ましはかけない。
目が覚めた時に起床する。
ちょうど学校はお盆休みで校舎も空いていない時だった。
そんな偶然にも後押しされ、僕は日が昇るころに眠り、日が落ちた時に起きる生活が定着した。


この時期、生活の変化はそれだけでは収まらなかった。
僕は映画やドラマが幼い時から大好きだった。
読書も同じ。自分ではない誰かに、自分がなったような感覚。
好きだった。暇を見つけてはそういった趣味に勤しんでいた。
が、それも。急にだった。